Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul,John 収録日=1967/2/1,2,3/3,6
●ビートルズがSgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandという架空のバンドに扮してアルバムで1つのコンサートを行おうというコンセプトはポールのアイディア。
●曲の始めの喧騒に中から「ポールのアホ」と聞こえる(?)。
●ピンクレディーのペッパー警部はこのアルバムタイトルからのパクリ。
●60年代のグループサウンズ(例えばスパイダース)のミリタリールックはこのアルバムのジャケ写からのパクリ。
ペパーの主題はなんだろうかと考える。Lonely hearts club(直訳=寂しい心倶楽部) っていうのは、イギリスの中高年の結婚相談所みたいなものって聞いたことあるけど、現代の孤独の象徴みたいなもんかな。
表面的にはみんな楽しそうだけど、一皮向けばみんな孤独でしょみたいなメッセージがこのアルバムには込められているんじゃないかな。でもビートルズはただ、孤独だ~って言ってるわけじゃなくて、だからこそ、友達の助けが必要だったり、ドラッグが必要だったり、恋人が必要だったり、家庭が必要だったり、音楽が必要だったり、愛が必要だったりということをメッセージとして伝えてるんだな。
ところで、このアルバムでのジョージの影の薄さはどうだ。Within You Without Youという名作を提供して入るものの、その他の曲では全く目立たない。Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band、Getting Better、Good Morning Good Morning等のリードギターは全てポールの手によるものだ。また、Being For The Benefit Of Mr.Kiteではバスハーモニカ、A Day In The Lifeではマラカス(しかも、音を抑えろってジョンに怒られる。)ってそれって別にジョージである必要ないじゃん。かわいそうなジョージ。Within You Without Youのところで誉めるからね。
演奏的には、ポールのリードギターが冴える。
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With A Little Help From My Friends
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Ringo 収録日=1967/3/29,30
●このFriendとはマリファナのこと。
●オープニング曲で紹介されたビリー・シアーズ、正体はリンゴスター。
What would you think if I sang out of tune,
Would you stand up and walk out in me.
僕の歌が調子っぱずれだったらどう思うかい
席を立って僕を見放してしまうかい?
っていきなり自分は歌が下手だって歌わされたリンゴの気持ちはどうなんだ。って心配することも無い。嬉々として歌うリンゴ。お人柄がしのばれます。
この曲の歌詞で最も注目すべきは以下のフレーズだろう
What do you see when you turn out the light,
I can’t tell you but I know its mine.
明かりを消したら何が見える?
それは内緒 僕の大事なものだよ
このもったいぶった言い方。ジョン作と言われるこの1行。
ジョン得意の言い回しだ。確か、I saw her standing thereでの有名な一節「well she was just seventeen you know what I mean(彼女は17歳。俺が言ってる意味わかるだろ)」これもジョンだったよな。露骨に言うと味気ないけど、もったいぶると深みがでる典型だな。
楽曲的耳を引くのはポールが弾くベースだ。ポールのベースを聴くためだけにこの曲を流したことがあるって人、沢山いるだろうな。
今や、リンゴのテーマ曲化している。 |
Lucy In The Sky With Diamonds
★★★★★
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1967/3/1,2
●タイトルの頭文字をとって、LSDになることから、LSD服用時の幻覚がこの曲の世界だと言われたがジョンはこれを否定。息子のジュリアンの友達のルーシーが書いた絵を元に作った歌とのこと。
●そのルーシーは既に他界。
●世界最古の人類はルーシー。1974年にエチオピアにて発掘隊がこの骨を発掘したときに持っていったラジカセから流れていた曲がこの曲だったからとのこと。
●映画、アイアムサムの娘はルーシー・ダイヤモンド。
●アメリカ・ハーバード・スミソニアン宇宙センターは、10億カラットの1兆倍の1兆倍ものダイヤモンドを発見したと発表し、そのダイヤモンドをルーシーと名付ける。
●70年代にエルトンジョンがカヴァーして全米No.1に。
万華鏡の目をした女の子とか、新聞紙で出来たタクシー等、次々と登場するサイケデリックなイメージ、夢の世界。僕が注目したいのは、ルーシーがすぐにいなくなったかと思ったら、突然現れるところ。不思議の国のアリスに出てくる懐中時計を持ったウサギみたいだな。
そして、何故かそれを追っていってしまう主人公。夢の中の自分はいつも何故かわからないけど、行動をせきたてられている。そんな夢経験あるでしょ。僕はこの主人公の行動パターンにこそリアリティを感じるんだな。凄いぞジョン!!
また、僕がこの曲の詞を評価するのは、こんなところだ。
Picture yourself in a boat on a river, With tangerine trees and marmalade skies
川に浮かんだ小船に乗っていると思ってごらん そばにはタンジェリンの樹 それにマーマレードの空
有名はこの曲の冒頭だ。僕が注目したいのは、sky(空)が複数形になっているところだ。マーマレードの空っていうんだから、あのマーマレードのオレンジの皮みたいに何層にもなった空ってことなんだろうか。こういうところにこだわるとこの曲が、結構不気味に思えてくるよね。
これは、僕が勝手に提唱している詩の手法のひとつなんだけど、何気ないものを複数形にしてみる、本来ひとつのものを沢山と表現してみる。そうすると意外な世界が広がるんだよね。例えば、「兄嫁が走る」っていう一行詩を「10人の兄嫁が走る」ってしてみると、のっぴきならない緊張感が出てくるでしょ。それだけで、1行の背後になんらかの物語を感じられるようになるでしょ。実は、僕は、この複数化のテクニックをこのLucyから学んだんだ。
その他、目立たないけど、Lucyの中に出てくるNewspaper Taxi(新聞紙のタクシー)も複数形(Taxis)だし、Plasticine Porter(粘土の荷物運び)も複数形(Porters)なんだよね。それを踏まえてもう一度、絵を思い浮かべて見ると別の世界(僕のイメージはかなり不気味だけど)が広がるでしょ。
ポールのメロディアスベースが冴えわたる。ジョンの声も最高だ。
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Getting Better
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/3/9,10,21,23
●この曲のエンディングをパクったのが「乙女パスタに感動」のプロデューサー、つんく。
●「Getting Better」とは、リンゴの代役としてツアーでドラムを叩いたジミーニコルの口癖。
この曲で注目すべき歌詞は以下。
Me used to be a angry young man Me hiding me head in the sand
You gave me the word I finally heard
I’m doing the best that I can.
以前の僕は怒れる若者だった
真実を見極めようとはしなかった
でもある言葉を君が聞かせてくれたおかげで今じゃ一生懸命やってるよ
はたしてこの言葉はどんな言葉なんだろうか?
同様のフレーズはWhen I’m 64にも出てくる。
Any if you say the word,
I could stay with you.
君がその言葉を言ってくれたら
ずっと君のそばにいよう
普通に答えれば「愛してる」なんだろうけどな。他になんか思いつく言葉ある人教えて。
この曲の前半は学校批判だな。近代的生産システムに適合する人間を製造するための学校。特にイギリスでは、階級によって行く学校の意味が違うからな。貴族階級の子弟はみんな、寮制のプライベートスクールに行く。そこでは、紳士たることを教育されるんだ。
労働者階級のガキはこの歌の通り、労働者になるべく訓練されるパブリックスクールに押し込まれる。
そこで、ビートルズの個性的な面々がそんな学校からはみ出ていくのは必然だったと思うよ。特にジョンは、反抗的で手のつけられない不良だったんだらしい。小学校のときの通信簿に「見込みなし。」って書かれたっていうのは有名な話だ。
また、この曲の後半は、自分の過去の女との関係に対する反省だ。ジョンの暴力はそうとうひどかったらしいな。
I used to be cruel to my women
I beat her and kept her apart from the things that she loved
以前は恋人にもひどいことをした
殴りつけたり 好きなことをやらせてあげなかったり
ジョンの次の言葉は、とてもリアリティがある。「愛と平和を語る者というのは常にもっとも暴力的な人間だ。」
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Fixing A Hole
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/2/9,21
●突如収録したくなったポールがみんなを召集。スタジオはアビーロードスタジオではなかった。
●ジョージマーティンがチェンバロを弾いている。らしい。
「自由な精神を持ちたい、芸術的になって、アヴァンギャルドに対しても先入観を持たないようにしよう」これがこの曲にこめられたメッセージで、決してヘロイン(fixはヘロインの隠語、holeは注射針によって出来た穴)によって現出する幻覚の世界のことではないよってポールは言ってる。
See the people standing there who disagree and never win
And wonder why they don’t get in my door
あそこに立っている連中をごらん むなしく意見を闘わせながら
自分たちが僕のドアに入ってこない理由を考えあぐねている
問題はそのドアの中がどういった世界かってことだよね。ポールが言うように「偏見を捨てた一つの境地」のことなのか、LSDなりヘロイン等をすることによって見えてくる幻覚の世界なのか。勿論、当時は後者として捉えられたよね。ドラッグソングとして。
この曲を社会の一般的な価値観からドロップアウトしようとした当時のヒッピーたちが支持。
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She’s Leaving Home
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/3/17,20
●ポールとジョンのみで収録。
●管弦楽はマーチンのアレンジではない。
ポールの物語風の曲。家出する少女。どうすることも出来ない両親のなげき。ポールとジョンのコーラスの掛け合いで成り立っている。
fun is the one thing that money can’t buy
楽しみだけはお金では買えない
そうかなぁと思う人もいるんじゃないかな。現代だったら、お金があればたいていの楽しみを買えるからね。でも当時のイギリスでは(多分、日本も)、子供(特にアッパークラスの女の子)は親の言うことを聞いてその通りの人生を歩まなければならなかったっていう力が強かったんだろう。
ミミおばさんの有名なセリフがあるでしょ。「ジョン、ギターもいいけど、それじゃあ食べていけないのよ」
まぁ、最近ではあんまりそういう親は少なくなったな。「子供の自由にさせるのが一番って価値観」が大勢を占めてるからね。
でも、こういった価値観は、昔からそうだったってわけじゃなくて、少しづつ広まってきたんだと思うよ。ビートルズの出現って事は、そのことを加速させたって側面がある。愛と平和と自由、ビートルズはそれらの観念の布教家だったからね。
この曲で注目なのは下記のところ。
Meeting a man from the motor trade
自動車販売会社の男に会うために
多分、当時は自動車産業ってのは、これからどんどん伸びていく産業のトップだったんだと思うよ。でいて、そんなにアッパークラスじゃなくてもなれた。今でいうところのIT業界みたいな、あぶなっかしいけど、儲かっていて、将来性はありそうみたいなポジションじゃないかな。あと、自動車っていうのが、自由を獲得するアイテムって感じもさせるよね。(appointment she made と韻踏むために、 motor tradeにしたっていう面も)
まぁ、この女の子はそのうち、子供とか出来て、その子を抱きながら、ある日、家にもどりましたって感じになるんじゃないかな。わからんが。
バーンスタインもベタ褒めの名曲。
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Being For The Benefit Of Mr.Kite
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1967/2/17,20,3/28,29,30
●ジョンの「サーカスの雰囲気、おがくずの匂いが感じられるようにしたい」っていう要望を出し、マーチンがスチームオルガンのテープを放り投げて拾ったものからつなぎ合わせて間奏とエンディングを作成。
●ジョンが骨董屋で偶然見つけた19世紀のサーカスのポスターから歌詞を引用。
●このポスターは埼玉のジョンレノンミュージアムが所蔵している。
●歌詞に出てくる(馬の)ヘンリーはヘロイン、ヘンダーソン氏はハッシシ等、麻薬関連の曲ではないかとも邪推される。
サウンド的にはこのアルバムになくてはならない1曲だ。この曲のエンディングのきらびやかなサウンドコラージジュは圧巻。おがくずの匂いというよりも、金粉の匂いがしなくもないがね。スティームオルガンの音をテープに録音して、それを一度、細切れにして空中に放り投げ、落ちて来た端切れを順番につなぎ合わせ、再生したってことになってるけど、これはウィリアムブレイクの作詩の手法を取り入れたという。
自由を求めて家出した子供(She’s Leaving Homeにて)がその後、サーカスへ行くってピノキオみたいな展開だな。
サーカスってのは、華やかだけど、どこか暗い。昔は、夜遅くまで外で遊んでると「サーカスが連れて行くよ」みたいに言われたもんだ。このアルバムも華やかで浮遊感があるんだけど、どっかペシミスティックな香りがする。人間の持つ根本的な孤独感がこのアルバムの底に流れているからなんだろうな。
In this way Mr. K. will challenge the world!
Mr.Kはこのようにして世界に挑むのです
果たしてこのMr.Kの野望は満たされたのだろか。Mr.Kは世界に挑んで勝ったのだろうか?僕はそこまで考えちゃう。
ところで、Mr.Kと言って思い出すのはカフカの「審判」だ。「審判」の中のMr.K(ヨゼフ・K)は、突然、ある裁判に巻き込まれる。わけもわからず、運命に翻弄される。この小説は「現代人の孤独と不安と絶望の形而上学を提示」したっていわれるが、それは、見事にペパーの主題と重なるんだな。
また、このアルバムの中で孤立しているかのようなこの曲が他の曲とへその緒でつながっているとすれば、それは次の部分だ。
The band begins at ten to six
5:50からバンドが演奏を始める
僕はこのバンドこそ、Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandだと思っている。同じように、Good Morning Good Morning の以下の箇所もSgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandのショーだと思っている。(5時になって元気が出てきて、ショーに向かえばだいたい5:50位でしょ。)
Go to a show you hope she goes (Good Morning Good Morning)
ショーに出かけよう。彼女も来てるといいな
まぁ、そんなことビートルズが言っているわけじゃない。僕が勝手に想像しているだけだけどな。
だってジョンも言ってる「この曲に関して、いろんな深い意味があるんじゃないかっていう人もいるけど、そんなものは無い」ってね。
聴けば聴くほどあじが出るスルメ曲。
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Within You Without You
★★★★☆
◆(George) V=George 収録日=1967/3/15,22,4/3,4
●ジョン、ポール、リンゴは参加していない。
●ラビ・シャンカールはこの曲を誉めてくれなったという。
このアルバムでジョージが唯一生き生きしているのがこの曲だ。この曲をやらせてもらうために、後は、Jobとしてやったって言ってるくらいだからな。
中学の頃はこの曲嫌いだったな。B面の1曲目だから、飛ばして聴いていた。最近になってこの歌の歌詞が理解できるようになって凄く興味が出てきた。と同時に何度も聞いているうちにその奥の深さがわかってきた。これが24歳の男が作る曲かいな。
いくつか重要なフレーズを書き出してみる。
1)With our love we could save the world
愛があれば、僕達は世界を救うことが出来る
2)No one else can make you change
何者も君を変えることは出来ない
お~、1)はAll you need is love(愛こそはすべて)、2)はNothing’s gonna change my world(アクロスザユニバース)の価値観じゃないか。ということはジョンのメインテーマは実はジョージが先に表明していたんですね。この曲で。逆にいえば、ジョンの思想はジョージの思想を発展させ、拡大させたんだとも言える。
また、一方、物議をかもしそうなのは以下のフレーズだ
the people-who hide themselves behind a wall of illusion never glimpse the truth
幻想の壁の陰にじっと身を隠した人々 彼らは真実を見つめようとしない
お~。これは、Fixing a holeでポールが示した立場と真逆ではないか。
the people standing there who disagree and never win and wonder why they don’t get in my door
むなしく意見を闘わせながら 自分たちが僕のドアに入ってこない理由を考えあぐねている
ドアの中が幻想の壁の陰なのか、真実の世界なのか、それはわからんが、なんとなくジョージとポールの価値観の溝を感じさせる。どうだろうか。
さらに、この曲には注意すべきフレーズがまだある。
the people,Who gain the world and lose their soul
世界を手に入れると同時に魂を失った人々
これは、マタイ伝の中の一節である。僕はここを読むと堀江貴文さん(御存知ホリエモン)のことを思い出す。僕は今から10年くらい前に堀江さんと小さな思い出ががある。彼はちょうど、有限会社オンザエッジを立ち上げたばかりの頃で、六本木の雑居ビルの一室でHPの代行製作の仕事をしていた。
当時、彼は毎日、会社に寝泊りし、バリバリのプログラマとして、頑張っていた。ある日、僕が自分のPCが壊れてしまい、どうしてもしなくてはいけない作業が滞ってしまい、困っていた。そこで深夜にもかかわらず、その頃、面識のあった堀江さんの会社に頼み込んでPCを使わせてもらったのだ。あのときは本当に助かった。今でも感謝している。勿論、その時、彼はお金を要求するようなことを一切しなかったし、それどころか、また来てください。と言った。
その後、彼とは疎遠になってしまったが、僕は断言する。彼は決して「金がすべて」なんて男ではない。彼は常に面白いことを求め続けた普通の男だ。しかし、彼が「世界を手に入れた」時に、何かを失っちゃったのかなぁとも思う。でも彼は全然大丈夫だ。All right all right all right(Revolutionより)だ。頑張れ。
最後に、僕が持っているペパーのLP版では、背表紙の歌詞のところ、この曲はSideAの最後の曲扱いになっているけど、みんなのもそう?
歌詞を理解してはじめて奥深さに触れられる曲。
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When I’m Sixty-Four
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/12/6,8,20,21
●ポールが16歳のときに作った曲。
●64歳になったらってことだけど、実はプロポーズの曲。
●dig the weeds はマリファナを楽しむという俗語。
ポールらしいユーモアあふれ、あっけらかんとした曲調だが、目は笑っていない感じがする。
Will you still need me, will you still feed me,when I’m sixty-four
64歳になっても、僕を必要としてくれる?ご飯を食べさせてくれる?
結構切実なことではないか。ポールくらいの大金持ち、有名人になれば、それは大丈夫だろうけど、一般的にこういう不安は誰でもあるよね。ようするに老後になって、誰も相手にしてくれなくなっちゃうんじゃないかって不安ない人いないでしょ。だからこの曲の背後にEleanor Rigbyが張り付いているってことわかるよね。ポールがジョンにFather McKenzieをFather McCartneyにされようとして怒ったって話、リアリティあるよ。
関係ないが、下の文章のyourのところでポールが珍しく訛り(スカウス)を出している。
Grandchildren on your knee Vera Chuck & Dave
孫たちが君の膝の上、ヴィラ、チャックとデイヴ
ここ、僕には、Your はニュルアに聞こえる。じいちゃん言葉ってことを意識したんだろうか?
しかし、64歳になった時のポールは、実際は離婚騒動の真っ只中にいた。
「現実は常に上手くいくとは限らない」これもペパーの主題の一つだ。
今となっては残酷なポールの名曲。
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Lovely Rita
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/2/23,24,3/7,21
●ジョンがトイレットペーパーの芯を櫛で叩くパーカッションを担当。
●ポールがアメリカで駐禁キップを切られたことを元に歌を作成。
これもポールの物語風の曲。ちょっとしたラブコメディだな。
警察の交通課の駐禁係婦警のリタ。お茶に誘い出し、飯を一緒に食う。支払いは彼女が済ませ、家へ来ない?って言われれば、これでやったと思うのが男の性。
ところが、リタの家に行ってソファに腰をおろしてみれば、姉妹たちが出てくるっていうオチ。
Give us a wink and make me think of you
ウィンク一つで僕はポーッとしちゃうのさ
これがgive me じゃなくて、give us のところが淋しいところだよね。
楽曲的に言えば、間奏のピアノがいいよね。あと、最後の部分、何故かとってもサイケデリックな雰囲気になる。
ここはカラオケでもエコーをどんどんかけていくと雰囲気でるよ。同席している人のこと考えなければね(笑)。
つなぎの感じはするけど、実はポールの才能溢れる曲。
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Good Morning Good Morning
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1967/2/8,16,3/13,28,29
●ジョンがケロッグのCMを見て作曲。
●最後の動物は弱いものから強いもの順というのは俗説。
リタの最後がなんだか悪夢のような盛り上がりをみせ、ピアノでダーと降りてきたかと思うと、このGood morningのニワトリが鳴く。夜が明けた。アサーってやつだ。(古い..)
中山康樹氏はこの歌詞をほとんど意味がないと喝破されているが、僕はそうは思わんな。いろんなところにジョンそのものが出ているよ。確かに、1番、2番はそれほど面白いところは無いが、問題は3番だ。
After a while you start to smile now you feel cool then you decide to take a walk by the old school
しばらくたつと君は笑顔を取り戻し、気持ちもしゃんとしてくる。そこで懐かしい母校の脇を散歩することにする
ペパーセッションの最初のコンセプトは子供の頃の思い出だったという。それにしたがって出来たが、Strawberry Fields Forever であり、Penny Laneである。その2曲は急遽、シングルとして発売することになったもんだから、そのコンセプト自体はなくなってしまったかのようだけど、このGood Morningのこの部分に残ってたんだね。
そして夕方になる。君は段々元気になっていく...
Go to a show you hope she goes
ショーに出かけよう。彼女も来てるといいな
前もどっかで書いたけど、僕がこのShowはペパーのShowだと思う。こうしてこの曲はペパーの中で置き場を見つけるだな。
また、この曲、平凡な労働者が、朝起きて、会社か工場かわかんないけど、とにかく仕事場に行こうとするんだけど、結局、足が向かなくて街をブラブラする。彼の目には街は廃墟のように見える(このあたりもドラッグを感じさせないでもない)。そして時間が経過すると共に、段々元気になってくる。そして夕方5時になってやっと人間性をとりもどす。
I’ve got nothing to say but it’s O.K.
僕に言えるのは大丈夫ってことだけさ
こうして、最終的には彼ら独特の楽天性で包み込むんだけど、組織や労働は人間性を殺すって事、ビートルズは直感的にわかってたんだろうな。ペパーのジャケットにはカール・マルクスがいるでしょ。マルクスの思想ってのも、基本的にはこういったことだからね。それをビートルズ的に表現したのがこの曲だと思う。マルクスって最近の人は、あんまり興味ないっていうか知らないんだと思うけど、当時は、多くの人々がこの世を救う思想って考えてたんだよ。
この曲のエンディングでは何故か、動物たちが吠え、走り回る。これだって一種の幻覚っていえなくもないよね。今でいうなら「わけわかんな~い」ってやつだよね。
この曲のリズムはジョンならでは。凄い発想だよね。
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Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band[Reprise]
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul,John,Geoge 収録日=1967/4/1
●オープニングのSgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandのリプライズ版。
この部分があってようやく、ペパーがトータルコンセプトアプバムだって事が具体的にわかる。
意外にもこの曲が一番好きって人多いよね。僕もこのRepriseは大好きだ。このアルバムでもっともロックしている部分だからね。
このアルバムで一番ロックしているのがじつはこの曲。
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A Day In The Life
★★★★★
◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1967/1/19,20,2/3,10,22,4/21
●ジョンが新聞の記事から歌詞を作成。
●間奏の部分には40名のオーケストラが参加。
●ジョージはマラカスのみで参加。にもかかわらずTake1でジョンにマラカスは小さめにと指示されている。
●ポールの歌が始まる直前の目覚まし時計はマル・エバンスが小節のカウントのために入れた音。偶然の産物。
●曲後の無音部には、犬しか聞こえない音が入っている。これはビーチボーイズの「ペットサウンズ」へのオマージュか。
このアルバムのクライマックスがこの曲だ。2005年に2chであったビートルズ最萌トーナメントの優勝曲だ。僕も毎回参加させてもらった。楽しい企画だったな。この曲、なんと言ってもジョンの声が素晴らしい。後、ポールパーツに引き継がれたときの緊張感もすばらしい。ジョンとポールのプライドがガチンコでぶつかりあったみたいな感じがするよね。
この曲の一番の詩はジョンの書いた1番だよね。
I read the news today oh boy about a lucky man who made the grade
And though the news was rather sad
Well I just had to laugh
I saw the photograph.
今日、新聞で読んだよ。
運良く名をなした男の話だ。
少々悲しいニュースなのに僕は笑わずにいられなかった
そこに載ってた写真をみてね
He blew his mind out in a car
He didn’t notice that the lights had changed
A crowd of people stood and stared
They’d seen his face before
Nobody was really sure
If he was from the House of Lords.
彼は車を運転してるうちにぶっ飛んじまって
信号が変わったのに気がつかなかったんだ
野次馬がたくさん寄ってきて
見覚えのある顔だとみんなが思ったものの
そいつが上院議員だと断言できる人はひとりもいなかった
車の中でぶっ飛んだ男。地位も名誉もある男。恐らく、ドラッグで意識が飛んだんだろうな。そんな男でもドラッグをやらざるを得ないほど、現代は病んでいるってことさ。
この前だって、衆議院議員がシャブやってたってのあったじゃない。時代は変わっても同じようなことを繰り返すんだ人間は。
で、可哀想なのは、車の中で失神した男をみんなで覗きに来るんだけど、「あ~、この人見たことあるっ」っていうんだけど、誰もその人を特定できないんだな。
「テレビでみたことあるよね、この人、でも誰だっけ」みたいな。
結局、その人がその人であるっていう根拠が社会の中で薄くなっているのが現代だよね。日本だって、100年位前は、村落共同体とか、下町の長屋みたいのがあって、その人がその人である根拠ってのは、みんなが保証してくれた。そんな社会が有史このかたずっと続いていたんだよね。それで、その関係の深さが人間の根本的な孤独を隠蔽していたんだよね。ずーっと。
でも現代ではいくら成功して、認知度が高くなったとしてもそんなものはブラウン管の中だけの話、実際に目の前にそいつが現れてくると誰もそれがその人だって断定できないってそれほどの認知度でしかないってこと。
でも、それがDay In The Life、つまり、いつもの日の平凡な出来事ってことで通り過ぎていく。そんな人と人の関係の希薄さが、人間のもつ孤独を浮き彫りにさせる。
そこから逃れる方法を教えてあげるよって出てくるのがこの1行だ。
I’d love to turn you on
君を目覚めさせてあげたい
僕にとってのビートルズナンバー1がこの曲。 |