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家紋溢れる街 人形町を散策

Wednesday, December 3rd, 2008

日本橋人形町は家紋に溢れた街である。

先日、ちょっと時間があったので、この街に行って来た。
元々、このあたりに芝居小屋や浄瑠璃小屋があったため、多くの人形遣いが住んでいたからこの町名がついたという。

日山は、老舗(創業・昭和2年)の精肉店。この人形町で、すき焼き割烹も営んでいる。
ここの家紋は笹(九枚笹)。笹は昔から、縁起物として重宝がられたから家紋として使う家も多い。
もしかしたら、昔、肉を包むために使われた笹からこの家紋を採用したのかも。
この家紋使用者で有名なのは、戦国武将の竹中半兵衛。現代では自民党の谷垣禎一氏。

これは、源氏車という紋。元々、平安時代からの文様らしいんだけど、源氏物語の装丁に、よく使われていたらしい。
源氏物語で車って言えば、六条御息所と葵上の車争いが有名。能の葵上でも語られるよね。おそらく、その事件がこの源氏車の起源だと思われる。
現在は、佐藤家の家紋として有名。佐藤さんという方が、このブログをご覧になっていたら、是非確かめてみてください。佐藤栄作元首相もこの紋。また、何故か、元NHKアナウンサーの宮田輝さんもこの紋である。

この家紋は、勾玉一つ巴。黄金芋で有名な寿堂という京和菓子屋さん。
一つ巴といえば、ちょっと前までボーダフォンの会社ロゴが近かったんだけど、この勾玉一つ巴というのは珍しい。
僕も初めて見ました。
でも、巴紋は日本を代表する家紋。二つ巴は、大石内蔵助、三つ巴は、八幡様を初めとして、神紋として広まる。神田大明神の紋も同類。柳川藩家老職の蒲池家のお嬢様・松田聖子はこの紋のはず。

これは、茶の実紋。
橘紋と近いけど、実の両側に後ろの葉が見えていないので茶の実紋と判別できる。
この紋は共和国というお茶屋さんの暖簾にあった、ひとつ茶の実紋を撮影したもの。人形町交差点から、茅場町方面にしばらく歩いた右側にありました。
 
 
 
 
さて、人形町と言えば、水天宮。水天宮の紋はご存知、椿紋だ。
一般的に椿紋というのは、縁起が悪いと言われている。
花ごとポロリと落ちる姿が、武士にとって馘首に通じるイメージが嫌われたんだろうね。ちなみに、映画・椿三十郎の家紋は、剣かたばみでした。
ただ、このポロリと落ちるっていうのは、安産の神とされる水天宮には好印象。だから、この神紋を使っているのだと思われる。
 
 
狛犬が遊んでいる玉にも、細かく椿紋が刻まれているのには、感心。
逆にちょっと意地悪な見方をすると、水天宮って儲かってるんだなぁという事。
この日も夕方だったんだけど、何人かの女性が参拝をしておりました。やっぱり、この業界も、専門店が強いということでしょうか。
 
 
 
 
ただ、この境内の灯篭には、竜胆紋と碇紋も刻まれていた。
おそらく、椿紋が神紋になるのとは全然別に、この2つは何らかのかかわり(贈与など)があった事が推測される。
この形の竜胆紋は、道元の曹洞宗もそうだから、なんらかな宗教的つながりがあったのかも。
また、碇紋は、水天宮というのが、元々海の神だったことの名残だと思われる。
 
 
さらに境内には、別社として弁財天があり、波に三つ鱗紋の提灯を見つけた。
江ノ島の弁財天と同じ紋だ。江ノ島は元々鎌倉幕府のお膝元だから、北条の三つ鱗が弁財天に受け継がれているんだと思う。
ちなみに、横綱・白鵬が何故か三つ鱗紋。元寇の因縁を考えるとモンゴル人横綱がこの紋を使用するっていうのも面白い因縁だ。
 
 
 
今回は、表通りだけをざっと歩いた人形町散歩だったけど、細かい路地に入っていくともっと、家紋、しかも庶民のレア紋なんかもありそうな、家紋マニアには奥深い街だ。

まさむね