宮本武蔵は若い頃、決闘にあけくれ、晩年に「五輪書」を著した。
決闘の動機の多くは、死と向き合った武士道というよりも、何とか生き延びようとする生命への執着だったような気がする。
吉岡三兄弟との戦い、巌流島の決闘、それらにおいて奇策として伝えられる態度にこそ、人間らしい武蔵の姿があった。
逆に言えば、かなり卑怯なのだ。武蔵って奴は。
しかし、晩年に決闘を封印し、少なくとも殺されることがなくなってから、自分の戦いを美化する。
その美化作業にこそ、俺は武蔵の弱さを感じるのであった。
まさむね