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2008年FNS歌謡祭 斬らせていただきました

Thursday, December 4th, 2008

FNS歌謡祭

FNS歌謡祭

恒例のFNS歌謡祭が昨日あった。
4時間を越す長丁場。これだけ長いといいシーンも悪いシーンも、いいアーティストも悪いアーティストもごった煮状態。

勝手に概観を語ってみたい。

ノッケに出てきたのがSMAP。
ツアーの最終日という事で、札幌の会場からの生中継だ。
番組の冒頭にSMAPでつかんでという意図は分かるのだが、演目が無名曲だったのが残念。
「夜空のムコウニ」「世界に一つだけの花」位のサービスがあってもよかったような。
だって、クサっても歌謡祭だからね。
局とアーティストの力関係が露骨にでた瞬間でもあった。
ちなみに、いつもの草彅剛が不在のため、フジの局アナが司会。時々ニュースとか読んでる顔の四角い人。
剛とは四角つながりか。そんな安易な人選でよかったのか。

さて、SMAPのパフォーマンスだが、そこそこ...いや、実は辛かった(笑)...

二番手はWAT。SMAPの後だから、逆に実力を示せばチャンスかと思ったが、こちらも残念、轟沈。

そして、次は大橋のぞみと藤岡藤巻のポニョ。(親父の一人は過労で不在。のぞみちゃん無関心。)
さて、ポニョには、のぞみちゃんが歌えば、それがスタンダードになるという強みがある。
音のはずしも、当て振りの遅れも含めて彼女がやることが正解なのだ。

この後は、順不同。気になったアーティスト羅列させていただきます。

まずは、広瀬香美。
片桐はいりではなく広瀬香美。
周囲にPerfume、Pabo、青山テルマ、絢香を従えてのメドレーの披露。
Perfumeは音声にデジタル処理してないと結構辛い。
Paboの歌はカラオケ並か。
聴かせところは、絢香とテルマの歌合戦だが、押しの強さで絢香に軍配上がる。さすが大阪人。
本人・香美は、残念ながら高音出ず。

芸能人の”お仕事”をバッチリ披露したのが、郷ひろみ。
いつでも、ギャラ分のパフォーマンスは必ずこなす安定感は随一。
おそらく、郷ひろみがいつまでも若く見えるのは、彼が他のアーティストとの比較が成り立たないほどユニークなためか。
逆に言えば、SMAPなんかは、同類として嵐とかNEWSとかと比較されるから、劣化した印象を貫禄でごまかすしかないという辛さはあるよね。

途中、登場してきたのが、自称・エンタマイスターの小倉智昭氏。
たまにカメラが向くゲスト席で一人で、はしゃいで手を叩く。
そんなに首振って”帽子”ずれないか?
マイクを向けられ、嵐のことを「普通のいい子達ですよ」とバッサリ。これって褒めてるの?一応、スターなんだけどさ。
一方、EXILEには気を遣って、尊重。
そのEXILEは2曲披露。艶かしい。可も無く、不可も無く。

今年初といえば、ジェロ。
HIP-HOPのバックダンサー付きのパフォーマンス。
この人、実は、こういう音楽やりたいのかも。
10年後、独り言で「本当は、ダンスミュージック好きだったんだ。演歌はおばあちゃんに無理やり歌わされてたんだ」って告白したりして。
それにしても、この人の持ちネタとしての「おばあちゃん孝行」はいつまで続くのか。
その日本人のおばあちゃんの他にも、おじいちゃん二人、もう一人のおばあちゃんいるだろうに、それらの方々の話はいつも一切無しだからね。

その他、ミスチル、ゆずのトイズ系は無難。
浜崎はSEASONSのアカペラ頑張った。耳大丈夫か。いろんな意味で正念場。客席にTOKIOいたが、カメラ捕らえず。
そして倖田來未。今年を振り返るも、羊水発言には触れず。当たり前か。

それに織田裕二。誰もが山本高広のパフォーマンスが目に浮かんでしまう昨今、周りの人たちが微妙に気を遣っていて、薄暗い苦笑。
一瞬、ゆずの北川とツーショットに。「お互い月9数字取れませんな」とのヒソヒソ話が聞こえてきそうな場面。

そしてV6。簡保さんが踊ってた。それだけ。
TOKIOは地味な扱い。個人的に松岡のドラムとか上手だと思うんだけどさ。
矢島美容室の歌は実は僕は好き。途中マイク飛んだけど、声は聴こえてた。さすがタカさんだ。ただ、この矢島美容室企画って、代理店臭が強すぎない?

番組の間に入る過去の映像。ジュリーや山口百恵、松田聖子、やっぱり時代を創ったアーティストって魅せるよね。
でも一番インパクトがあったのが、尾崎豊。これこそ、一曲入魂というのだろう。
トップを維持しようとするとき、SMAPのように貫禄を出す方向に行くという手段もあるが、尾崎豊のように常にその番組で、一番のパフォーマンスを目指し、闘い続ける姿勢をくずさないアーティストの方がインパクトあるよね。

あっという間の4時間半。最後にまたSMAP。
「この瞬間、きっと夢じゃない」を披露。特にコメントなし。

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まさむね

 

テレビ業界不況を反映した紅白出場者決定

Wednesday, November 26th, 2008

紅白出場者が決まった。

ほぼ、下馬評通りの選出だったが、ミスチルの初出演にはちょっと驚いた。
さすがに、オリンピックのテーマ曲「GIFT」とかも作ってたから、結局は人間関係で押し切られたといったところか。
「大晦日に、他のアーティストと一緒に歌えるのは感激です」とは桜井さんから、伝わっている感想だが、まさしく大人の対応だ。
だったら、今までとうして?っていうのは小さなツッコミ。

今年は、民放キー各社のコンテンツ絡みのアーティストが出揃った。

日テレは「崖の上のポニョ」の藤岡藤巻と大橋のぞみ。
TBSは「私は貝になりたい」から中居正宏と仲間由紀恵。司会に抜擢だ。
フジは「ヘキサゴン」の羞恥心withPabo。
テレ朝は「相棒」の水谷豊。

テレ東だけ、ハロプロ関連落とされて、ちょっと涙目?(正確に言えば、Paboの里田はハロプロだが)

しかし、これほど、各社タイアップ企画のキャラが軒並み登場するっていうのは、いつのまにかどっかで、”橋”を渡ったんだろうね。
とにかく、今期は、CMのスポットが入らなくて、各社減益。特に、日テレ、テレ東が赤字転落らしいからさ、とにかくテレビ業界自体が大ピンチ。なんとか、各社、不動産業(サカスのTBS)とか、コンテンツ事業部系の売上げ(「相棒」のテレ朝)、番組制作費予算カット(フジ)でなんとかしのいでいる状況でしょ。昔の映画会社みたいだよね。
いまや、今は、各社が競っているというより、みんなで斜陽産業を盛り上げようっていう事か。今年のテーマは“ひとの絆(きずな)”らしいが、どこか痛い。

でも、ちなみに各社のワイドショー、夕方のニュースで紅白歌手出場決定って大々的に報道していたわりに、そのニュースの最後で、自社の番宣を5秒位入れる苦しさも笑えた。

その他、初出場で、即納得は、Perfume、ジェロ、青山テルマ、いきものがかり。
ジェロは演歌歌手らしく、「(亡くなった)おばあちゃんのお陰です」って親孝行をアピール。
Perfume、いきものがたりは、それぞれエコCM、合唱コンクール等で”取引口座”がすでにある。NHK御用達系と言えなくも無いか。

個人的に興味深いのは木山裕策。月曜日の深夜番組の「歌スタ」からの成り上がり。
4人の子持ち、病気持ち、オーディション出って三拍子揃った奇跡の新人だ。

紅白には、こういう人生ドラマ系苦労人枠って毎回1~2づつあるよね。
今年は、この人と秋元順子。

そういえば、森進一は「おふくろさん」歌うんだろか。別に聴きたいわけじゃないけど、ちょっと気になる。

でもモーニング娘。落選がショックは僕。地方公務員層を支持基盤においていた彼女達だが、昨今の交付金削減、補助金カットなどの荒波が、地方公務員たちの給料に影響し、パッケージ販売を鈍らせたか!?
「ペッパー警部」も、阿久悠ネタ+前作からの期間などを勘案する限り、満を持したにもかからわず、今ひとつだったしな。
でも、ネットでは、今、紅白関連の話題ってモーニング娘。落選一色。
2ch、その他でも、ファン達の反省会、及び、今後の対策会議のスレが乱立している。
さすが、コンサート終了後、会場外でいくつかのグループでまとまり、「本日のコンサートの反省会」「高橋愛体制後の娘達の将来」等を真剣に議論してくれる暖かい(?)ファンがささえている。
心配しなくても、大丈夫だよ、ミッツィ~。

あと、保釈中の小室哲也は、残念落選。それでも、KEIKOが宇多田ヒカルの協力を得て、「Prisoner of Love」(翻訳すると愛の囚人)歌うとか。
「平気な顔で嘘をついて 笑って 嫌気がさして 楽ばかりしようとしていた ないものねだりブルース ~♪」って、ないか。

まさむね

ジェロの海雪等 J-POPと日本の古典文学

Friday, April 25th, 2008

どんな曲にも必ず、キラリと光る一節を持っている宇多田ヒカルの歌詞。
2001年のヒット曲「Traveling」には、平家物語の冒頭の一節(祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり・・・おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし)が引用されている。

風にまたぎ月へ登り
僕の席は君の隣
ふいに我に返りクラリ
春の夜の夢のごとし

金曜の夜の彼女とのデートで盛り上がる気持ちを歌った曲だが、その盛り上がりに水をさす自分の心の中のスキマを、平家物語の無常観をしのばせる事で刹那的に表現する彼女の文学的センスが光る。

また、その他古典文学を意識したフレーズとしては、ジェロの海雪に出てくる「出雲崎」。
ここは古来からの歌枕の一つで、芭蕉が「奥の細道」の中の名句「荒海や佐渡に横たふ天河」を詠んだと言われているが、おそらく、この海岸から佐渡を眺めた芭蕉は、世阿弥、日蓮、順徳院等、佐渡に流された先人の苦難を偲び、この句をしたためたのであろう。

勿論、秋元康もそれを踏まえての作詞だと思われ。

さてもう一つは、湘南乃風の「純恋歌」に出てくる以下のフレーズ

桜並木照らす おぼろ月
出会った二人の場所に帰りに一人寄り道

「桜」に「朧月」といえば、「源氏物語」の花宴の巻。光源氏とライバルの右大臣家の大事な娘(朧月夜)との危険な恋を暗示するシーンとしてあまりに有名だ。

地元土着型労働者階級の歌声を代表する若旦那(湘南乃風)の教養を感じさせる一節だ。

まさまね