松紋 -長寿への願いを込めた紋-

松は長寿の象徴である。

例えば、『高砂』は、相生の松によせて夫婦愛と長寿を愛でて、人世を言祝ぐ能である。
日本人は松の木の悠然としていて変らない緑に、長寿という普遍的な願望をこの松に託したのである。

香川県は、松の多い土地柄として有名だが、やはりこの松紋の所有者も多い。[1]
その昔、讃岐の国司となってこの地に下った藤原氏がこの松紋を採用、土地に根付き一族を広げていった。
全国では22位だが、香川県でだけ10位に入っているのである。

松紋所有の有名人は以下。

尾崎放哉。1885年1月20日 – 1926年4月7日、俳人。
現在の鳥取県邑美郡に士族で鳥取地方裁判所の書記官・尾崎信三の次男として生まれる。
季語を含めない自由律俳句の代表的俳人として種田山頭火と並び称される。
代表作は「咳をしても一人 」「墓の裏に廻る」「いれものがない両手でうける」など。
家紋は五つ松皮菱。


徳川夢声。1894年4月13日 – 1971年8月1日、弁士、漫談家、作家、俳優。
島根県益田市に生まれ、東京に育つ。本名は福原駿雄。
日本の元祖マルチタレントとも言える人物である。
「彼氏」「恐妻家」の造語でも知られる。
家紋は三つ松毬紋。


松本清張。1909年12月21日 – 1992年8月4日、小説家。
福岡県企救郡板櫃村出身。
「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。
代表作は「砂の器」「点と線」「黒革の手帖 」など多数。
家紋は三つ重ね松紋。


児玉誉士夫。1911年2月18日 – 1984年1月17日、右翼運動家、黒幕。
福島県安達郡本宮町出身。児玉家は、二本松藩の御典医の家だった。
ロッキード社の秘密代理人。ロッキード事件の際に一般にその名が広く知れ渡る。
スカルノ大統領の夜の相手としてホステス根元七保子(後のデヴィ夫人)を送り込んだ。
「政財界の黒幕」「フィクサー」と呼ばれた。家紋は、丸に松皮菱。


木下惠介。1912年12月5日 – 1998年12月30日、映画監督、脚本家。
静岡県浜松市伝馬町で食料品店を営む家の4男として生まれる。
二十四の瞳』で、ブルーリボン賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞などを受賞。
木下惠介劇場』『木下惠介アワー』などの固定枠を提供されて多くのテレビドラマを制作。
小津安二郎と同様にほとんど性描写をしない演出が特徴的である。家紋は右寄り三階松。


立川談志(7代目)。1936年1月2日 – 、落語立川流家元、国会議員と総理府の政務次官。
東京府東京市小石川区(現在の東京都文京区)に生まれる。 本名:松岡 克由。
1971年 – 第9回参議院議員通常選挙に全国区から無所属で初当選。
古典落語を現代的価値観・感性で表現しなおそうという野心的努力は評価されている。
丸に左三蓋松は、立川流の定紋。


高島忠夫。1930年7月27日 – 、タレント・俳優・司会者。
兵庫県武庫郡出身。妻は女優の寿美花代。俳優の高嶋政宏・高嶋政伸は実子。
料理番組『ごちそうさま』やクイズ番組『クイズ・ドレミファドン!』など長期に渡る人気番組の司会を担当。『ゴールデン洋画劇場』では映画解説を担当した。
出演作は『細うで繁盛記』『ふたりっ子』『ゴジラvsメカゴジラ』等。家紋は三つ松。

[1]松皮菱は菱紋に分類されることもあるが、ここでは松とさせていただきました。

まさむね



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