突然、ブリグリ

ところざわさんからのメールを見て、自分で書いた過去の全日本プロレスものを読み返してみたら、今とほとんど考えが変わっていない事を確認。自分のお里が知れました。

さて、オブライトの体型ですが、確かにマンガチックですね。おそらく馬場さんは技術よりも体型から彼を選んだのでしょうね。腹が出ていて手の長い人って僕はそれだけで、そのプロレスラーを信用してしまいます。

さて、今回僕が書きたいのは、ブリグリ(TheBrilliantGreen)の事だ。1年ちょっと前までまったく歌謡曲に興味の無かった私は、ELTもブリグリも同じようなものだと思っていたのだが、ちょっと聞けばすぐに分かる事だが、ブリグリはかなり違う。
フロイトを持ち出すまでもなく、一般に人間の根源的欲望には二つの方向がある。一つはエロスでもう一つがタナトスだ。簡単に言ってしまえば、エロスというのは、現世的な快楽を追求する欲望で、金や女や権力が欲しいということ。一方、タナトスは現世を否定したあの世への願望の事だ。通常、社会はその生産性を維持するためにこのタナトスを抑圧すべく機能するので、テレビとか学校とかでは、このタナトスは存在しないかのように扱われる事が多々ある。
昨日来から話題になっているSPEEDを始め、ELTとかジャニーズとかは、前面エロスで押してくる。「夢を大事にしろ」とか「頑張ってる君が好きだ」とか、露骨ではないにしろ、生を肯定するのが歌謡曲の役割の一つだと思えるほどである。
ところが、ブリグリはめずらしく、タナトスに足場を置くアーチストなのである。以下は「長いため息のように」の一節である。

10秒前の過去に脅えた。わけもわからずに。
目覚めて、少し、思わず泣いた。悲しい夢だった。
・・・
あなたがくれた本を開いてここから抜け出そう。
今や明日や現実よりも少しはマシだから。

私は、そのささやかな暗さに唖然とさせられたのだ。一般的に暗い歌手といえば、中島みゆきとか尾崎豊とかあるけど、彼らの暗さはかなり具体的だ。例えば、分かれた男に後悔させようとして一生懸命、化粧して最後の言葉を言いに行く女とか、学校に反抗して窓ガラスを割って歩く少年とか。
でも、ブリグリの暗さはもっと根源的な暗さだ。普段は明るく暮らしている人でも、フと陥るような現実にぽっかり空いた穴のようなささやかな暗さである。
彼らがこれからどれだけ続くかわからない。適当なところで、歌手を辞めて、運送屋になりたいと公言してはばからない所をみると、もしかしたら、本当に現世のエロスに興味が無いのかもしれないという想像までさせてくれる。

どうですか。

まさむね

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