「篤姫」ヒットの一因に、普遍的な物語性があった

篤姫は、物語のアーキタイプ(典型)としても、優れているのではないかと思う。
アーキタイプというのは、典型的な物語の枠組みの事である(ここではそう使っている)。
例えば、世阿弥の「忠度」とか、「忠臣蔵」「水戸黄門」、西洋だと「シンデレラ」や「ロミオとジュリエット」がこれにあたる。
ようするに、それを典型として、いくつものバリエーションが生み出せるような普遍的な物語のことである。

では、篤姫は典型としてまとめるとするならば、どんな物語なのであろうか。

自由奔放に育った子が、心ならずも運命的に別世界に送り込まれてしまう。
そこには自分を苛めてくる数々の敵がいるが、その敵を一つづつ、自分の味方にしていく。
そして、その世界で、王子様と出会って、愛し合うことができるが、不幸にもその王子様は死んでしまう。
その王子様からのメッセージを心に秘め、さらに襲ってくる数々の敵を自分の味方にしつつ、難関を乗り切っていく。
その敵の中には、子供の頃に一緒に遊んだ仲間もいるが、それぞれの立場で最良の道を選んで進んでいく。
運命のしたがって、その別世界は崩壊してしまうが、その子は、最終的に、闘いの過程で味方にした仲間達と幸せに暮らす。

こんな感じだろうか。
篤姫では、この別世界は江戸城大奥だったが、それは老舗の旅館だったり、銀座のクラブだったり、大手町の大企業だったり、嫁入り先だったり、どんな設定でも物語は成立するような気がする。
それはバリエーションの問題なのだ。

今回、篤姫の大ヒットの原因の一つに、この物語の普遍性というのが追加できるかもしれない。
今後、このアーキタイプを活用したアドベンチャーゲーム、別のドラマ、小説などが多産されていくような気もする。

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まさむね

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