日本の伝統で和歌だ!

夏の夜は
まだ宵ながらあけぬるを
雲のいづこに月やどるらむ

この歌は、清少納言の曽祖父の清原深養父の歌。百人一首にも選歌されている。

先日、思いの他、早く起きてしまった明け方、何気なく、この歌が口をついて出た。

歌が突然、腑に落ちるのはこんな瞬間だ。
夏の明け方のまどろみの気持ち良さ、いやおうなく過ぎてしまう時間の残酷さ、月に対して、あたかも旅人のよう接する優しい視線、そういったものが一気に、理解できる瞬間だ。
おそらく、日本の伝統とは、100年前に出来た靖国神社に行くというような事ではないと思う。
こういった1000年も前に作られた歌が一瞬にして理解できるような感性の地下水脈こそ伝統というものではないだろうか。

高校の時に、百人一首の暗記させられ、本当に辛かった思い出がある。
その頃は、30年後に突然、このような感動的な瞬間が訪れようとは考えもしなかった。
体で覚える暗記って一見無駄のようにも思えるけど、長い潜伏期間の後、宝物のような輝きを見せることがあるんだね。
逆に今は、その頃の教育に感謝している。

ちなみに、以下、この歌の現代訳です。

夏の夜は短い。
宵になったと思ったら、もう明けてしまった。
こんなに早く明けてしまったので、月も西の山に行き着けなかったんじゃないかな。
雲のどこかに宿を取っているんだろうか。

まさむね

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